帽子になった鬼といかれ帽子屋になろうとしている男の話

某ボイドラの後付設定というか彼らの過去話というか。



昔々、あるところに、真っ黒な鬼が居ました。
鬼はまるで大きな猫のような身体をしており、
ベルベットのような美しい毛並みをしておりました。

その鬼は、縄張りに迷いこんだものを首を伸ばしては
食い荒らしておりましたが、
長らくそんな生活をしているうちに、
極度の面倒くさがりを患いました。

獲物を追うのも面倒くさく、
口元に残る血をぬぐうのも面倒くさく、
起き上がるのさえ面倒くさくなりました。

そんな有様なもので、鬼本人も、
そのうちゆっくり死ぬものかと思っていたところに、
一人の男が、突然目の前に現れました。

その男はひどく痩せぎすで目ばかり大きく爛々とし、
いかにも食いでがなさそうでしたが、
鬼はそんなことを考えるのも面倒でした。

ぼんやりと男を眺める鬼に向かって、
男はよく通る声で、演説でもするように述べはじめました。

「やあやあ、君はかの高名な面倒くさがり病を患っていると見える!
あれは不治の病だ。この先放っておいてもキミは死ぬだろう!」

「だが、君はまだ死ぬには惜しい。
起き上がるのも面倒だというなら、私の帽子になってはくれないかね。
ちょうど探していたんだ、美しい毛皮を持っている、いかれた設定持ちを!」

「もし帽子になってくれるというなら、定期的な食事は保障するよ。
日々優しくメンテナンスしてやってもいい。どうかな?」

反論するのも面倒だったので、鬼はゆっくりと頷きました。
食事の保証もしてくれるなら悪い話ではありませんでした。

「交渉成立だ!」

男が嬉しそうに指を鳴らすと、
ふわりと体が持ち上げられる感触がし、酷く眠くなりました。
これからどうなるかを考えるのも面倒だったので、
鬼はゆっくりと瞳を閉じました。
少しだけ、腹が減ったな、と思いました。



男は鬼が居た場所に転がっているビロードの帽子を取り上げると、
一つ埃をはらい、うきうきと頭へ乗せた。

「うむ、実に経過は良好!
人喰い帽子とは実にいかれていて素晴らしいじゃないか!
いかれ帽子屋という役が振られたなら、私もそれなりに振る舞わなければね!」

「それじゃあ、これからよろしく頼むよ、
バンダースナッチ……いや、もうハットでいいか。そうだろう?」



 

無題

何か頭おかしいメモが出てきたので。
これ何書こうとしてたんだっけか。


おまえのけんぞくがひとつきえるたびに、
あかいはなをやろう。まっかなはなをやろう。


ああ、さいあいなるおろかしいかみさま。
あなたはまだおきづきでないのですね。


わたしはあなたから、
はなをうけとるために、
みずからのおをくらうへびのように
おのれのけんぞくをくいつぶしていくのです。


あなたはそれをしらず、
あわれなぼくをあわれんで、
おじひのけつるいをながしてくださる。
とうといあかはなをめぐんでくださる。


あなたからのあいをうけとるために、
わたしはきょうも、おのれのこどもたちをくらうのです。


ああ、ああ、おろかしいかみさま!いとしいひと!
なんてつみつくりな、せいじょうなおかた!

やさしいやさしい女王さまのはなし。

ふと浮かんだ台本未満の思いつきメモメモ、その2。
 
++++


あるところに、とてもとても素敵な王国がありました。
国民は女王さまを母と慕い、
女王さまもまた、民衆を子と慈しんでいました。

お城の前の広場には、大きなギロチンがありました。
その刃はそれはそれは鋭く、
一回できれいに首と体を切り離せるすぐれものでした。

この国では、一日の終わりに、三人の人がギロチンにかかります。

別に悪いことをしたからではありません。
全国民の中から平等に、
赤ちゃんも子供も女性も男性も老人も病人も平等に、
くじ引きで選ばれます。

皆、一日の終わりに眠りにつくように、
ギロチンの上に横たわるのです。

女王さまは皆のお母さんです。
お母さんは、一日の終わりに、子供の頬にキスを一つ。
そして、おやすみのあいさつとともに、
ランプを消してやらなければなりません。

ギロチンは、そのランプの代わりでした。
生命の明かりを、女王さまは優しく消してあげるのです。

「おやすみなさい、良い夢を」

女王さまはとても優しく優しく、そう言うと、
ゆっくりギロチンのひもを引きました。

しゃきん、という音が一つ鳴り、
ごとん、という音が一つ鳴り、
水滴のような音がたくさん鳴りました。

三回、それを繰り返したあと、広場はゆっくりと静まりかえります。
皆、かりそめの眠りに就くために、めいめいおうちに帰るのです。

その国では、誰もギロチンにかかることをこわがってなどいませんでした。
むしろ、女王さまにおやすみのあいさつをしてもらえることを楽しみに、
日々を過ごしていました。


女王さまは皆のお母さんです。
だから、子供はみんな優しく眠らせてあげなければいけません。

女王さまは、今日も一日に三人、子供を眠らせてあげます。
明日も三人、あさっても三人。
子供が誰もいなくなるまで、女王さまはそうやって
ひもを引き続けるのです。


「おやすみなさい、良い夢を」




にんげんぎらいのアルフレッド

 
ふと思いついた台本ネタ未満をメモメモ。その1。
 ++++


むかしむかし、ある小さな町の真ん中に、大きな木が立っていました。
木の名前は、アルフレッドと言いました。

アルフレッドは人間が嫌いでした。
勝手に自分の根の上を歩き固めたり、
柔らかかった土を
何だかわからない灰色の地面にしたりするからです。

だから、アルフレッドはいつも人間にいじわるをしていました。
木陰で涼みに来た人間に、枝を除けて影をずらしてみたり、
人間が必死に引いた灰色の地面を、根っこで持ち上げて
でこぼこにしてやったりしました。

そうしているうちに、小さかった町はいつの間にか、
大きな大きな町になっていきました。

アルフレッドは、いつだって変わりません。

やがて、アルフレッドは切り倒されてしまいました。
真ん中にある大きな木は、
人間たちにとってとても邪魔だったそうです。

アルフレッドは、
切り株すら残さず、根こそぎ抜かれてしまいました。
人間たちは、誰も、アルフレッドの名前すら知りませんでした。
アルフレッドは、アルフレッドのことをアルフレッドだとすら
知らない人間たちに、よっこらせ、と抜かれてしまいました。

だから、このお話はこれでおしまいなのです。


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